それは、私が爪の横のささくれを、つい癖で、ピッと剥いてしまったことから始まりました。その時は、ほんの少し血が滲んだだけで、大したことはないと思っていました。しかし、その翌日、ささくれがあった指先が、なんだかズキズキと痛み始めました。見てみると、爪の横が、少し赤く腫れています。「ばい菌でも入ったかな」と思いましたが、そのうち治るだろうと、軽く考えていました。ところが、その痛みは、時間と共に、拍動性の、脈打つような激しい痛みに変わっていきました。指先が、心臓になったかのように、ドクンドクンと痛むのです。そして、赤みと腫れは、爪の根元の方まで広がり、指先はパンパンに。ついには、爪の横の皮膚が、白くぷっくりと盛り上がり、中に膿が溜まっているのが、はっきりと見えるようになりました。指を少し曲げるだけで激痛が走り、夜も痛みで眠れないほど。これはもう、我慢の限界だ。そう思い、私は翌朝、近所の皮膚科クリニックへ駆け込みました。診察室で指を見せると、医師は一目見るなり、「ああ、これは典型的なひょう疽ですね。膿が溜まって、痛いでしょう」と言いました。そして、「薬だけでは治りが遅いので、切って膿を出しましょう。すぐに楽になりますよ」と、切開排膿を勧められました。正直、「切る」という言葉に恐怖を感じましたが、この痛みから解放されるなら、と覚悟を決めました。指に、チクッとする麻酔の注射を打たれ、数分後。医師が、メスで、膿が溜まっている部分を、ほんの少しだけ切開しました。痛みは全くありません。そして、器具で指先を優しく圧迫すると、中から、溜まっていた膿が、どろっと排出されました。その瞬間、信じられないことに、あれほど私を苦しめていた、ズキズキとした拍動性の痛みが、すーっと引いていったのです。まるで、パンパンに張った風船の空気が抜けたような、解放感でした。その後、抗生物質の飲み薬と塗り薬を処方され、数日間、ガーゼで保護しているうちに、腫れも赤みもすっかり引き、傷もきれいに治りました。この経験を通じて、私は、たかがささくれと侮ってはいけないこと、そして、指先の異常は、我慢せずに、早く専門医に診てもらうことが、いかに大切かを、身をもって学びました。
指が腫れて痛い!私がひょう疽になった体験談