ある日、赤ちゃんのまぶたが、片方だけ赤く腫れている。機嫌が悪く、しきりに目をこすろうとする。そんな時、多くの保護者の方が「もしかして、ものもらい?」と心配になることでしょう。大人ではよくある「ものもらい」ですが、赤ちゃんにも起こるのでしょうか。答えは、イエスです。赤ちゃんも、大人と同じように、ものもらい(医学的には麦粒腫)になることがあります。赤ちゃんの「ものもらい」の主な原因は、大人と同様に、皮膚や鼻などに普段からいる常在菌である「黄色ブドウ球菌」などの細菌が、まぶたにある分泌腺に感染することです。赤ちゃんは、まだ免疫機能が未熟で、感染に対する抵抗力が弱いという特徴があります。また、何でも手で触り、その汚れた手で、無意識に自分の顔や目をこすってしまうことが多いため、大人に比べて、細菌が目に侵入しやすい環境にあると言えます。ものもらいには、まつ毛の毛根や、その周りの汗腺に感染して起こる「外麦粒腫」と、まぶたの裏側にある、脂を出すマイボーム腺に感染して起こる「内麦粒腫」の二種類があります。どちらも、初期症状としては、まぶたの一部が赤くなり、少し腫れて、痛みやかゆみを伴います。赤ちゃんは、言葉で痛みを訴えることができないため、「機嫌が悪い」「ぐずる」「しきりに目をこする」「目やにが増える」といったサインで、不快感を表現します。症状が進行すると、腫れはまぶた全体に広がり、膿が溜まって、白や黄色っぽい膿点が、まぶたの縁や裏側に見えるようになります。ものもらいは、通常、片目に発症することが多いですが、両目に同時にできることもあります。赤ちゃんのまぶたの腫れに気づいたら、自己判断で様子を見たり、市販の目薬を使ったりせず、まずは専門医の診察を受けることが大切です。