喉の痛みや発熱といった、他の症状は全くないのに、鏡で喉の奥を見たら、赤いブツブツがたくさんできていて、不安に感じている。そんな方もいるかもしれません。このように、痛みなどの自覚症状を伴わない、喉の赤いブツブツの多くは、前述した「リンパ濾胞」の腫れである可能性が高いと考えられます。リンパ濾胞は、喉の粘膜の下にある、正常な免疫組織です。風邪のひきかけや、アレルギー、あるいは、喫煙や飲酒、空気の乾燥といった、慢性的な刺激によって、喉の免疫システムが、常に軽い戦闘状態に置かれると、このリンパ濾胞が、過剰に反応して、赤く腫れ上がることがあります。これが「慢性咽頭炎」と呼ばれる状態です。慢性咽頭炎では、激しい痛みはないものの、常に喉に「イガイガする」「何かが張り付いているような違和感がある(咽喉頭異常感症)」「痰が絡む」といった、すっきりしない不快な症状が、長く続くことがあります。このリンパ濾胞の腫れ自体は、病的なものではなく、体の正常な防御反応の一環であるため、過度に心配する必要はありません。しかし、その背景に、何らかの慢性的な刺激や、体の不調が隠れているサインと捉えることもできます。例えば、鼻の病気である「副鼻腔炎(蓄膿症)」や「アレルギー性鼻炎」があると、鼻水が常に喉の奥に流れ落ちる「後鼻漏」となり、これが喉を慢性的に刺激して、リンパ濾胞を腫れさせる原因となります。また、胃酸が食道へ逆流する「胃食道逆流症(GERD)」も、逆流した胃酸が喉を刺激し、慢性咽頭炎を引き起こすことが知られています。このように、喉のブツブツの背景には、鼻や胃といった、別の場所の病気が関わっている可能性もあるのです。もし、痛くないけれど、喉のブツブツや違和感が、何週間も続くようであれば、一度、「耳鼻咽喉科」を受診してみることをお勧めします。鼻や喉の状態を詳しく診察してもらい、背景に隠れた病気がないかをチェックしてもらうことで、長年の不快な症状から解放されるきっかけが見つかるかもしれません。