一人暮らしならまだしも、家族と一緒に暮らしている場合、自分が水虫になってしまうと、「家族にうつしてしまうのではないか」という心配が、大きなストレスになります。実際に、水虫は、家庭内での感染が非常に多い病気です。しかし、その感染経路と、白癬菌の性質を正しく理解し、適切な対策を講じることで、家庭内感染のリスクを、大幅に減らすことが可能です。水虫の原因である白癬菌は、感染者の足から剥がれ落ちた、皮膚の角質(垢)の中に潜んでいます。そして、この菌が付着した場所を、他の人が素足で歩き、その足に菌が付着し、さらに、その菌が増殖しやすい「高温多湿」の環境が整った時に、感染が成立します。つまり、家庭内感染を防ぐためのポイントは、「菌をばらまかないこと」「菌に触れないこと」「菌が増殖する環境を作らないこと」の三つです。まず、最も重要な感染源となるのが、「バスマット」です。お風呂上がりの湿った足で踏むバスマットは、白癬菌にとって、まさに天国のような場所です。水虫の人がいる家庭では、バスマットの共用は絶対にやめ、個人用のタオルを使うようにするか、あるいは、バスマット自体を、こまめに洗濯・乾燥させることを徹底しましょう。同様に、「スリッパ」の共用も避けるべきです。次に、家庭でできる基本的な対策として、「こまめな掃除」が挙げられます。床、特に、脱衣所やカーペットなどを、掃除機で丁寧に掃除し、白癬菌の潜む角質を取り除くことが大切です。また、感染者自身が、足を清潔に保つことも重要です。毎日、石鹸をよく泡立てて、足の指の間まで、優しく丁寧に洗いましょう。そして、洗い終わった後は、タオルで水分を完全に拭き取り、乾燥させることが何よりも肝心です。白癬菌は、湿った環境を好むため、足を常に乾燥させておくことが、菌の活動を抑える上で効果的です。これらの対策は、面倒に感じるかもしれませんが、あなたの大切な家族を、水虫の悩みから守るための、愛情表現の一つです。皮膚科で正しい治療を受けながら、家庭内での感染対策も、並行して行っていきましょう。