血便という症状で消化器内科を受診した場合、一体どのような検査が行われるのか、不安に思う方は多いでしょう。特に、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)に対しては、痛みや羞恥心から強い抵抗を感じるかもしれません。しかし、検査の流れを事前に理解しておくことで、不安は大きく軽減されます。ここでは、消化器内科を受診した際の一般的なプロセスを解説します。まず、診察室に入ると、医師による詳細な「問診」から始まります。いつから血便があるのか、出血の色や量、頻度、便の状態(硬さや太さ)、腹痛や発熱、体重減少といった他の症状の有無、過去の病歴や家族歴、普段の食生活や排便習慣などについて、できるだけ詳しく伝えます。この問診は、原因疾患を推測する上で非常に重要な情報となります。次に、「身体診察」が行われます。医師がお腹を触診して、張りやしこり、圧痛(押した時の痛み)がないかを確認します。そして、必要に応じて「直腸診」が行われます。これは、医師が手袋をした指を肛門から挿入し、直腸の壁に異常がないか、指に血液や便が付着しないかなどを調べる診察です。肛門近くの病変(痔や直腸がんなど)を発見する上で非常に重要です。これらの診察の結果、大腸からの出血が疑われた場合、診断を確定するために「大腸カメラ」が勧められます。大腸カメラは、肛門から内視鏡を挿入し、直腸から盲腸までの大腸全体の粘膜を直接観察する検査です。この検査により、がんやポリープ、炎症、憩室などの有無を、モニターを通してリアルタイムで確認することができます。もし、検査中にポリープが見つかった場合は、その場で切除することも可能です。また、疑わしい部分があれば、組織の一部を採取して(生検)、病理検査で良性か悪性かを詳しく調べることもできます。検査の前には、腸の中を空にするために、下剤を服用する必要があります。検査中は、苦痛を和らげるために鎮静剤を使用する医療機関がほとんどで、うとうとと眠っている間に検査が終わることが多いです。検査時間は通常15~30分程度です。不安や羞恥心は当然ありますが、大腸がんは早期発見できれば根治が望める病気です。自分の体を守るためにも、医師の指示に従い、必要な検査をきちんと受ける勇気が大切です。