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声が出ない時に絶対やってはいけないこと
突然、声が出なくなってしまった時、多くの人は焦りや不安から、つい、症状を悪化させてしまうような行動をとってしまいがちです。声帯が炎症を起こしている、あるいはダメージを受けている時に、良かれと思ってやったことが、かえって治りを遅くし、症状を長引かせる原因となります。声が出ない時に、絶対にやってはいけないNG行動をいくつか知っておきましょう。まず、最もやってはいけないのが、「無理に声を出そうとする」ことです。声が出ないのは、声帯が正常に振動できない状態だからです。その状態で、無理に声を出そうと力むことは、腫れ上がった声帯同士を無理やりこすり合わせるようなものであり、炎症をさらに悪化させ、声帯の粘膜を傷つけてしまいます。特に、「ひそひそ声(囁き声)」は、一見、喉に優しそうに思えますが、実は、通常の発声よりも、声帯の周りの筋肉に余計な緊張を強いるため、声帯への負担が大きいことが分かっています。話す必要がある場合は、筆談やスマートフォンのメモ機能などを活用し、できる限り声帯を休ませる「沈黙」を徹底することが、最も効果的な治療法です。次に、「喉に刺激を与えるもの」も避けるべきです。例えば、香辛料を多用した辛い食べ物や、熱すぎる飲み物、あるいはアルコールなどは、喉の粘膜を直接刺激し、炎症を悪化させる原因となります。また、「タバコ」は論外です。タバコの煙は、声帯にとって最悪の刺激物であり、炎症を長引かせるだけでなく、慢性的な声帯炎や、喉頭がんのリスクを高めます。声の不調がある間は、禁煙を徹底しましょう。さらに、「喉を乾燥させる」ことも、回復を妨げます。声帯の粘膜は、潤っていることで正常に機能します。空気が乾燥した部屋に長時間いることは避け、加湿器を使用したり、濡れタオルを干したりして、室内の湿度を適切に保つように心がけましょう。マスクの着用も、自身の呼気で喉の湿度を保つ効果が期待できます。これらのNG行動を避け、声帯にとって最適な環境を整えてあげることが、つらい症状から一日も早く回復するための、重要な鍵となるのです。
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かゆい皮むけは水虫とは限らない
足の指の間がかゆい、土踏まずに小さな水ぶくれができた、かかとが硬くなってひび割れてきた。これらの症状に気づくと、多くの人は「水虫になってしまった」と、短絡的に考えてしまいがちです。しかし、足の裏に現れる皮膚トラブルは、水虫(足白癬)だけではありません。水虫と非常によく似た症状を示す、別の皮膚病がいくつも存在し、それらを正確に見分けることは、専門家でなければ非常に困難です。例えば、夏場に多く見られるのが、「汗疱(かんぽう)」または「異汗性湿疹(いかんせいしっしん)」です。これは、汗の排出がうまくいかなくなることが一因とされ、主に足の裏や指の側面に、かゆみを伴う小さな水ぶくれが多数現れます。水ぶくれが破れると、皮がむけてくるため、水虫の水疱型や趾間型と、見た目がそっくりになることがあります。次に、何らかの物質に触れることでアレルギー反応が起こる、「接触皮膚炎(かぶれ)」も、水虫と間違われやすい病気です。靴の素材や、染料、あるいは靴下に使われている化学繊維などが原因となり、赤み、かゆみ、水ぶくれ、皮むけといった症状を引き起こします。原因物質に触れている部分に、症状が限局するのが特徴です。また、手のひらや足の裏に、膿の入った小さな水ぶくれ(膿疱)が、次々と現れる「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」という病気もあります。これは、金属アレルギーや、喫煙などが関与しているとされる、免疫系の異常による病気で、水虫と間違われることがあります。これらの病気は、原因が白癬菌ではないため、当然、水虫薬を塗っても治りません。治療法は、それぞれ全く異なり、汗疱や接触皮膚炎であればステロイド外用薬、掌蹠膿疱症であれば、ビタミンD3軟膏や、より専門的な治療が必要となります。症状だけで自己判断するのは、非常に危険です。足の皮膚に異常を感じたら、まずは皮膚科を受診し、顕微鏡検査などによる、科学的な根拠に基づいた診断を受けることが、何よりも大切なのです。