ある日突然、かかとが歩くと痛むようになったという経験はありませんか。その痛みは、朝起きて最初の一歩を踏み出した時が特に強く、しばらくすると和らぐこともあれば、活動を続けるうちに悪化することもあります。このような急なかかとの痛みの背景には、いくつかの原因が考えられますが、最も一般的なものの一つに「足底筋膜炎」があります。足底筋膜炎は、かかとから足の指の付け根まで伸びる足底筋膜という腱組織に炎症が起きることで発症します。この筋膜は、足のアーチを支え、歩行時の衝撃を吸収する重要な役割を担っています。そのため、過度な負担がかかると炎症を起こし、痛みとして現れるのです。過度な負担とは具体的にどのようなものなのでしょうか。例えば、長時間の立ち仕事や歩行、ランニングなどのスポーツ、特に硬い路面での運動は、足底筋膜に繰り返しストレスを与えます。また、普段あまり運動しない人が急に運動量を増やしたり、不適切な靴を履き続けたりすることも原因となり得ます。クッション性の低い靴や、かかとの安定性が悪い靴は、足底筋膜への負担を増加させます。さらに、肥満も足への負担を増大させる要因の一つです。体重が増えることで、足底筋膜にかかる負荷が大きくなり、炎症が起きやすくなります。このような急なかかとの痛みに襲われた際、まずは日常生活での負担を軽減することが大切です。痛みが強い場合は、無理に活動を続けず、安静を保つことを心がけましょう。アイシングも有効な手段の一つです。炎症を抑える効果が期待できるため、痛む部位にタオルで包んだ氷嚢などを当て、15分程度冷やします。これを1日に数回繰り返すことで、痛みの緩和につながります。また、靴の見直しも非常に重要です。クッション性があり、かかとをしっかりとサポートしてくれる靴を選ぶようにしましょう。特に、立ち仕事やウォーキングを多くする人は、インソールを活用することもおすすめです。市販のインソールでも効果が期待できますが、可能であれば専門家に相談し、自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。セルフケアで改善しない場合や、痛みが悪化するようであれば、専門の医療機関を受診することをおすすめします。整形外科では、レントゲン撮影や触診によって正確な診断を下し、適切な治療法を提案してくれます。
かかとが急に痛む原因と対処法