大人の微熱と咳が長期間続く場合、医療機関ではどのような流れで診断が行われ、どのような検査が必要になるのでしょうか。そのプロセスを理解しておくと、安心して受診できるでしょう。まず、医療機関(主に内科、呼吸器内科、耳鼻咽喉科など)を受診すると、医師による詳しい問診が行われます。これが診断において非常に重要なステップとなります。医師は、以下の点について詳細に聞き取ります。いつから微熱と咳の症状があるのか。咳の性質(乾いた咳か、痰が絡む咳か、発作的な咳かなど)、痰の色や性状。咳が悪化する時間帯(夜間、早朝など)や、特定の状況(運動時、会話時、冷たい空気など)。微熱の程度やパターン(だらだら続くか、上がったり下がったりするかなど)。他に症状(鼻水、喉の痛み、息切れ、胸痛、倦怠感、食欲不振、体重減少、寝汗など)はあるか。喫煙歴、アレルギー歴、既往歴(特に喘息やCOPD、結核など)、最近の体調変化、周囲での感染症の流行状況、服用中の薬などを詳しく聞かれます。次に、身体診察です。医師は、まず全身状態(体温、脈拍、血圧、呼吸数、酸素飽和度など)を確認し、次に聴診器を使って胸の音(呼吸音)を聞きます。気管支炎や肺炎、喘息などでは、特徴的な呼吸音(喘鳴や副雑音など)が聞こえることがあります。また、喉の赤みや腫れ、リンパ節の腫れなども確認します。これらの問診と診察から、ある程度の原因の方向性がつけられますが、さらに詳しく調べるために、いくつかの検査が行われるのが一般的です。代表的な検査としては、「胸部レントゲン(X線)検査」があります。肺炎や結核、肺がん、間質性肺炎といった肺の異常がないかを確認します。「血液検査」も重要です。炎症反応(白血球数やCRPなど)の程度や、アレルギーの関与(好酸球数やIgE抗体など)、特定の感染症の抗体価(例えば、マイコプラズマ抗体や百日咳抗体など)を調べます。痰が出る場合は、「喀痰検査」が行われることがあります。痰を採取し、細菌培養検査や細胞診などを行い、原因菌や悪性細胞の有無などを調べます。咳喘息やCOPDなどが疑われる場合には、「呼吸機能検査(スパイロメトリー)」を行い、肺活量や気道の狭窄の程度などを評価します。必要に応じて、胸部CT検査や気管支鏡検査といった、より精密な検査が行われることもあります。
微熱と咳が続く…診断までの流れと検査内容