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皮膚科では何をする?水虫の検査と診断
「水虫かもしれないけれど、病院へ行ったら、どんなことをされるのだろう」と、不安に感じている方もいるかもしれません。特に、皮膚科に馴染みのない方にとっては、診察や検査の内容は、気になることでしょう。しかし、水虫の診断プロセスは、非常にシンプルで、患者さんの体に大きな負担をかけるものではありませんので、安心してください。まず、診察室に入ると、医師による「問診」から始まります。いつから、足のどの部分に、どのような症状(かゆみ、皮むけ、水ぶくれなど)があるのか。家族に水虫の人はいないか。これまでに自分で何か薬を使ったか、などを詳しく聞かれます。次に、医師が、患部の状態を直接目で見て確認する「視診」を行います。症状の広がりや、皮膚の状態を詳細に観察し、水虫の可能性が高いかどうかを判断します。そして、診断を確定させるために行われるのが、水虫診断のゴールドスタンダードとも言える、「直接鏡検(ちょくせつきょうけん)」、いわゆる「顕微鏡検査」です。これは、非常に簡単で、痛みも伴わない検査です。医師は、ピンセットやメスの刃などで、患部の皮膚の表面、つまり、ポロポロとむけている角質や、水ぶくれの膜などを、ごく少量、優しくこすり取ります。採取した角質を、スライドガラスの上に乗せ、水酸化カリウム(KOH)という薬品を1滴垂らします。この薬品は、人間の皮膚の細胞(角質)を溶かす働きがありますが、水虫の原因である白癬菌の細胞壁は溶かさない、という性質を持っています。スライドガラスを少し温めて、角質を溶かした後、顕微鏡で観察します。もし、そこに白癬菌がいれば、角質細胞が溶けて見えやすくなった視野の中に、糸状の菌糸や、丸い胞子が、はっきりと姿を現します。この検査で、白癬菌が確認されれば、「足白癬(水虫)」という確定診断が下され、抗真菌薬による適切な治療が開始されます。この一連の検査は、通常、数分から10分程度で終わります。この簡単な検査を受けるだけで、あなたの足の悩みの本当の原因が分かり、効果的な治療への道が開かれるのです。
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鼻の症状が主なら耳鼻咽喉科へ
くしゃみが連発して止まらない、蛇口をひねったかのようにサラサラの鼻水が流れ出てくる、そして、両方の鼻が完全に詰まってしまい、息苦しくて夜も眠れない。花粉症の症状の中でも、特にこの「くしゃみ・鼻水・鼻づまり」という、三大鼻症状に悩まされている方は、非常に多いことでしょう。このような、鼻のトラブルが中心である場合に、最も頼りになる専門家が、「耳鼻咽喉科」の医師です。耳鼻咽喉科は、その名の通り、耳、鼻、喉(咽頭・喉頭)の病気を専門的に診療する科です。花粉症の診療においては、まず問診で症状の詳しい内容や、毎年どの時期に症状が出るかなどを聞き取ります。そして、鼻の中を直接観察し、花粉症に特徴的な、粘膜の腫れや、水っぽい鼻水の状態を確認することで、診断を下します。アレルギーの原因を特定するために、鼻の粘液を採取して、アレルギー反応に関わる好酸球という細胞が増えていないかを調べる検査や、血液検査を行うこともあります。治療の基本となるのは、アレルギー反応を抑える「抗ヒスタミン薬」の内服薬です。近年では、眠気などの副作用が少ない、第二世代の抗ヒスタミン薬が主流となっています。しかし、耳鼻咽喉科の強みは、それだけではありません。鼻の症状に特化した、より専門的な治療法を提供できる点にあります。例えば、鼻づまりが特にひどい場合には、鼻の粘膜の血管を収縮させる成分や、ステロイドが含まれた「点鼻薬」を処方します。これにより、内服薬だけでは抑えきれない、頑固な鼻づまりを効果的に改善させることができます。また、薬物療法で十分な効果が得られない方や、薬を飲み続けたくないという方に対しては、「レーザー治療」という選択肢もあります。これは、アレルギー反応の主戦場である鼻の粘膜(下鼻甲介)を、レーザーで焼灼することで、粘膜を意図的に変性させ、花粉が付着してもアレルギー反応が起きにくくするという治療法です。シーズン前に治療を行っておくことで、症状を大幅に軽減させる効果が期待できます。このように、鼻の症状に多角的にアプローチできるのが、耳鼻咽喉科の最大のメリットです。
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指のばい菌、整形外科と形成外科の役割
指がばい菌に感染し、赤く腫れて痛む。この時、多くの人がまず思い浮かべる診療科は、皮膚科かもしれません。しかし、症状の程度や原因によっては、「整形外科」や「形成外科」といった、外科系の診療科が、より専門的な対応をすることもあります。これらの科は、それぞれどのような役割を担っているのでしょうか。まず、「整形外科」は、骨、関節、筋肉、腱、神経といった、運動器の病気や怪我を専門とする科です。指の感染症において、整形外科の出番となるのは、感染が、皮膚の表面だけでなく、より深い組織にまで及んでいる、あるいはその可能性が疑われる場合です。例えば、動物に深く噛まれた、あるいはガラス片などが深く刺さったといった、外傷が原因で感染した場合、傷が骨や腱、関節にまで達していないかを評価する必要があります。また、ひょう疽や蜂窩織炎が重症化し、指の骨にまで感染が及ぶ「骨髄炎」や、腱の周りに膿が溜まる「化膿性腱鞘炎」といった、重篤な状態に進行してしまった場合、これらの治療は、まさに整形外科の専門領域となります。これらの病気は、指の機能を著しく損なう危険性があり、多くの場合、入院して、手術による膿の排出や、傷んだ組織の除去(デブリードマン)が必要となります。次に、「形成外科」です。形成外科は、体の表面に生じた、組織の異常や変形、欠損などを、機能的にも、そして「整容的(見た目)」にも、より正常に近い状態に再建することを専門とする科です。指の感染症においては、例えば、感染によって皮膚が大きく欠損してしまった場合や、手術によってできた傷跡を、できるだけきれいに治したい、といった場合に、その専門性が発揮されます。皮膚移植などの、高度な再建手術を行うこともあります。また、皮膚の下にできた、良性腫瘍(粉瘤や脂肪腫など)の切除手術も、皮膚科だけでなく、形成外科で広く行われています。傷跡を最小限に、そして目立たなく仕上げる技術に長けているのが、形成外科の大きな特徴です。まとめると、一般的な指の細菌感染は「皮膚科」、感染が骨や腱など深部に及ぶ重症例は「整形外科」、そして、傷跡をきれいに治したい、あるいは再建が必要な場合は「形成外科」と、それぞれの専門性に応じて、連携しながら治療にあたることになります。
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声が出ない、ストレスが原因の可能性も
風邪をひいたわけでもなく、声を使いすぎた覚えもない。耳鼻咽喉科で声帯を診てもらっても、「特に異常はありません」と言われた。それなのに、なぜか急に声が出なくなってしまった。このような、喉に明らかな器質的な異常が見られないにもかかわらず、声が出なくなる症状は、「心因性失声症(しんいんせいしっせいしょう)」の可能性があります。これは、その名の通り、強い精神的なストレスや、心理的な葛藤が、声という身体的な症状となって現れる、心身症の一種です。私たちの「声を出す」という行為は、非常に繊細な自律神経のコントロールのもとで行われています。しかし、仕事や家庭、人間関係などで、耐えがたいほどの強いストレスや、ショックな出来事を経験すると、この自律神経のバランスが崩れ、声帯を動かす筋肉が、無意識のうちに異常に緊張してしまったり、あるいは逆に、うまく力が入らなくなってしまったりすることがあります。その結果、声帯が正常に閉じなくなり、声が出せなくなってしまうのです。心因性失声症には、いくつかの特徴があります。まず、全く声が出せない失声状態であっても、咳払いをしたり、笑ったりする時には、正常な声が出ることがあります。これは、発声という意識的な行為の時だけ、声帯のコントロールがうまくいかなくなるためです。また、症状が突然始まり、そして、何かのきっかけで突然治る、といったように、症状が変動しやすいのも特徴です。女性に多く見られる傾向もあります。このような症状に心当たりがある場合、相談すべき診療科は、「耳鼻咽喉科」に加えて、「心療内科」や「精神科」といった、心の専門家が挙げられます。まず、耳鼻咽喉科で、声帯にポリープや麻痺といった、器質的な病気がないことを、きちんと確認してもらうことが大前提です。その上で、心因性の要因が強く疑われる場合には、心療内科などで、カウンセリングや心理療法を通じて、ストレスの原因となっている問題と向き合い、心の負担を軽減していくアプローチが中心となります。時には、精神的な緊張を和らげるための薬が処方されることもあります。声が出ないというつらい症状は、あなたの心が発している、言葉にならないSOSサインなのかもしれません。
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喉の赤いブツブツ、その正体と原因は?
ある日、鏡でふと喉の奥を見てみると、赤いブツブツとしたものができていて、驚いた経験はありませんか。痛みや発熱といった他の症状がなくても、見慣れないものが喉にあると、「何か悪い病気ではないだろうか」と、不安になるものです。この、喉の奥の壁(咽頭後壁)に見える、赤いブツブツの正体として、最も一般的に考えられるのが、「リンパ濾胞(ろほう)」の腫れです。リンパ濾胞とは、喉の粘膜の下にある、免疫を担当するリンパ組織の集まりです。普段は、ほとんど目立ちませんが、私たちの体は、鼻や口から侵入してくる細菌やウイルスと、常に戦っています。風邪をひいたり、空気が乾燥して喉の粘膜がダメージを受けたり、あるいは、疲労やストレスで体の抵抗力が落ちたりすると、この喉の免疫システムが活発に働きます。その結果、リンパ濾胞が、外敵と戦うために反応して、赤く腫れ上がり、ブツブツとして目立つようになるのです。これは、言ってみれば、喉の免疫部隊が、臨戦態勢に入っているサインのようなものです。多くの場合、このリンパ濾胞の腫れは、原因となっている風邪などが治まったり、体のコンディションが回復したりすれば、自然に目立たなくなっていきます。痛みなどの症状がなければ、過度に心配する必要はありません。しかし、この赤いブツブツが、長期間消えない、数が増えたり大きくなったりする、あるいは、強い痛みや発熱、飲み込みにくさといった、他の症状を伴う場合は、注意が必要です。それは、単なる免疫反応ではなく、溶連菌感染症などの細菌感染や、ヘルパンギーナといったウイルス感染症、あるいは、稀ではありますが、他の病気のサインである可能性も考えられます。喉の赤いブツブツに気づいたら、まずは、十分な休息と、うがいなどで喉を清潔に保つことを心がけましょう。それでも、症状が改善しない、あるいは不安が続く場合は、自己判断せず、耳鼻咽喉科などの専門医に相談することが大切です。
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花粉症で内科を受診するのはあり?
花粉症の季節、くしゃみや鼻水、そして微熱や体のだるさも感じる。そんな時、専門の耳鼻咽喉科やアレルギー科が近くになかったり、あるいは、普段から体調のことで相談している、かかりつけの「内科」で、まとめて診てもらいたい、と考える方もいるでしょう。では、花粉症の症状で、内科を受診するのは、適切な選択なのでしょうか。結論から言うと、全く問題ありません。むしろ、内科は、地域医療における最初の窓口(プライマリ・ケア)として、花粉症の診療においても、重要な役割を担っています。ほとんどの内科クリニックでは、花粉症の基本的な診断と治療が可能です。医師は、問診で、季節性の症状であることや、アレルギーの既往歴などを確認し、花粉症と診断します。そして、治療の基本となる、アレルギー反応を抑えるための「抗ヒスタミン薬」などの内服薬を処方してくれます。花粉症の症状は、時に、頭が重い、体がだるい、集中力が低下するといった、全身の倦怠感を伴うことがあります。これは、アレルギー反応そのものによる影響や、鼻づまりによる睡眠不足などが原因です。内科医は、こうした全身の状態を総合的に診て、適切なアドバイスをしてくれるため、安心して相談することができます。また、高血圧や糖尿病といった、他の持病で、もともと内科に通院している方にとっては、わざわざ別のクリニックへ行く手間が省け、いつもの診察の際に、花粉症の薬も一緒に処方してもらえるという、大きなメリットがあります。ただし、内科での治療は、主に内服薬による対症療法が中心となります。もし、内服薬だけでは、鼻づまりや目のかゆみといった局所の症状が、どうしてもコントロールできない場合や、より専門的な治療(レーザー治療や免疫療法など)を希望する場合には、内科医から、耳鼻咽喉科やアレルギー科、眼科といった、専門の診療科へ紹介してもらうことになります。このように、かかりつけの内科は、花粉症診療の入り口として、そして、必要に応じて専門医への橋渡し役として、非常に頼りになる存在なのです。
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指がパンパンに腫れる蜂窩織炎の怖さ
最初は、小さな傷や虫刺されだったはずなのに、その周りから、熱を持った赤い腫れが、じわじわと広範囲に広がっていく。指全体が、あるいは手の甲までが、パンパンに腫れ上がり、強い痛みを伴う。このような症状は、「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」の可能性があります。蜂窩織炎は、ひょう疽のように、膿が特定の場所に溜まるのではなく、皮膚の深い層である「皮下組織」に、細菌が広範囲にわたって侵入し、炎症を起こす病気です。原因となる細菌は、主に黄色ブドウ球菌や連鎖球菌で、皮膚のバリア機能が低下した、小さな傷口から侵入します。蜂窩織炎の特徴は、炎症の境界が比較的はっきりせず、赤みと腫れ、そして熱感(触ると熱い感じ)が、だんだんと広がっていく点にあります。指に発症した場合、指がソーセージのように腫れ上がり、曲げ伸ばしが困難になります。また、皮膚の感染症でありながら、発熱や悪寒、全身の倦怠感といった、全身症状を伴うことも少なくありません。これは、細菌が、皮下のリンパ管や血管を通じて、体内に影響を及ぼし始めているサインであり、注意が必要です。このような蜂窩織炎が疑われる場合、受診すべき診療科は、「皮膚科」です。しかし、高熱が出ている、あるいは腫れや痛みが非常に激しいといった、重症の場合は、入院設備のある総合病院の皮膚科や、場合によっては「形成外科」「感染症科」での治療が必要となることもあります。治療の基本は、原因となっている細菌に対する「抗菌薬(抗生物質)」の投与です。軽症であれば、内服薬で治療が可能ですが、症状が重い場合や、急速に悪化している場合には、入院して、点滴による強力な抗菌薬治療が行われます。また、患部を安静にし、心臓より高く挙げておく(挙上)ことも、腫れや痛みを和らげるために重要です。蜂窩織炎で最も怖いのは、適切な治療が遅れることで、細菌が血液中に入り込み、全身に回ってしまう「敗血症」という、命に関わる状態に陥るリスクがあることです。また、皮下に膿が溜まる「膿瘍」を形成した場合には、切開して膿を出す処置が必要になります。指の腫れが、ただの腫れではなく、広範囲に広がっていると感じたら、決して軽視せず、速やかに医療機関を受診してください。
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かゆみが消えても油断禁物、水虫治療の基本
皮膚科で水虫と診断され、抗真菌薬の塗り薬を処方された。毎日、真面目に薬を塗っていると、あれほどひどかったかゆみや、皮むけが、数週間で、目に見えて改善してきた。もう、見た目もきれいになったし、かゆみもないから、治療は終わりにして良いだろう。このように、自己判断で、薬の使用を途中でやめてしまう方が、実は、非常に多くいらっしゃいます。しかし、これこそが、水虫がなかなか治らず、毎年、再発を繰り返してしまう、最大の原因なのです。水虫治療において、最も重要な基本は、「症状が消えても、すぐに薬をやめないこと」です。なぜなら、かゆみや皮むけといった、目に見える症状がなくなったとしても、皮膚の角質層の奥深くには、白癬菌が、まだしぶとく生き残っている可能性が高いからです。白癬菌は、角質層の一番外側で活発に活動し、かゆみなどの症状を引き起こしますが、一部は、より深い層で、休眠状態のように、じっと潜んでいます。ここで薬をやめてしまうと、生き残っていた菌が、再び増殖を始め、しばらくすると、また同じ場所に、水虫が再発してしまうのです。この、見せかけの治癒に騙されず、菌を完全に根絶やしにするためには、医師から指示された期間、根気よく薬を塗り続けることが不可欠です。皮膚の角質層は、新陳代謝によって、約1ヶ月かけて、新しい細胞に入れ替わります。そのため、一般的には、見た目がきれいになってから、さらに最低でも1ヶ月間は、薬を塗り続ける必要があるとされています。また、薬の塗り方にもコツがあります。症状が出ている部分だけでなく、その周囲、そして、症状が出ていないように見える、足の裏全体や、指の間、かかとまで、広範囲に塗ることが推奨されます。白癬菌は、自覚症状のない場所にも、潜んでいることが多いからです。お風呂上がりの、皮膚が清潔で、柔らかくなっている時に塗るのが、最も効果的です。水虫治療は、根気との戦いです。かゆみが消えても、決して油断せず、「もう一息」の気持ちで、治療を最後までやり遂げることが、水虫との完全な決別に繋がるのです。
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狭心症の予防と治療、何科で相談できる?
狭心症は、心臓の血管の動脈硬化が主な原因で起こる、生活習慣病の一つです。そのため、狭心症の治療は、発作時の症状を抑えるだけでなく、その背景にある動脈硬化の進行を防ぎ、より深刻な心筋梗塞への移行を予防するという、長期的な視点が非常に重要になります。このような、狭心症のトータルな管理と相談に応じてくれるのが、「循環器内科」です。狭心症の治療の基本は、薬物療法と、生活習慣の改善、そして必要に応じたカテーテル治療やバイパス手術です。循環器内科では、まず「薬物療法」の中心となります。発作時に使用するニトログリセリンのほか、日常的に服用することで発作を予防し、心臓を保護する薬(血管拡張薬、β遮断薬、抗血小板薬など)を、患者さん一人ひとりの状態に合わせて処方します。また、狭心症の最大の原因である動脈硬化は、高血圧、脂質異常症(高コレステロール血症)、糖尿病、そして喫煙といった、危険因子(リスクファクター)が重なることで進行します。そのため、これらの「生活習慣病の管理」も、狭心症の治療において、極めて重要な要素となります。循環器内科では、血圧やコレステロール、血糖値の目標値を設定し、それを達成するための食事療法や運動療法の指導、そして適切な薬物治療を行います。禁煙指導も、重要な治療の一環です。これらの、薬物療法と生活習慣病の管理によって、動脈硬化の進行を食い止め、心筋梗塞などの心血管イベントの発症リスクを低減させることを目指します。つまり、循環器内科は、狭心症の発症から、その後の長期的な管理、そして「一次予防(病気にならないための予防)」と「二次予防(再発させないための予防)」まで、生涯にわたって、あなたの心臓と血管の健康を守るための、最も頼りになるパートナーなのです。胸の症状がある方はもちろんのこと、まだ症状はないけれど、高血圧や脂質異常症を指摘されている、あるいは家族に心臓病の人がいて将来が心配だ、という方も、一度、循環器内科の扉を叩き、予防的な観点から相談してみることをお勧めします。
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痛くないけど喉にブツブツ、これって何?
喉の痛みや発熱といった、他の症状は全くないのに、鏡で喉の奥を見たら、赤いブツブツがたくさんできていて、不安に感じている。そんな方もいるかもしれません。このように、痛みなどの自覚症状を伴わない、喉の赤いブツブツの多くは、前述した「リンパ濾胞」の腫れである可能性が高いと考えられます。リンパ濾胞は、喉の粘膜の下にある、正常な免疫組織です。風邪のひきかけや、アレルギー、あるいは、喫煙や飲酒、空気の乾燥といった、慢性的な刺激によって、喉の免疫システムが、常に軽い戦闘状態に置かれると、このリンパ濾胞が、過剰に反応して、赤く腫れ上がることがあります。これが「慢性咽頭炎」と呼ばれる状態です。慢性咽頭炎では、激しい痛みはないものの、常に喉に「イガイガする」「何かが張り付いているような違和感がある(咽喉頭異常感症)」「痰が絡む」といった、すっきりしない不快な症状が、長く続くことがあります。このリンパ濾胞の腫れ自体は、病的なものではなく、体の正常な防御反応の一環であるため、過度に心配する必要はありません。しかし、その背景に、何らかの慢性的な刺激や、体の不調が隠れているサインと捉えることもできます。例えば、鼻の病気である「副鼻腔炎(蓄膿症)」や「アレルギー性鼻炎」があると、鼻水が常に喉の奥に流れ落ちる「後鼻漏」となり、これが喉を慢性的に刺激して、リンパ濾胞を腫れさせる原因となります。また、胃酸が食道へ逆流する「胃食道逆流症(GERD)」も、逆流した胃酸が喉を刺激し、慢性咽頭炎を引き起こすことが知られています。このように、喉のブツブツの背景には、鼻や胃といった、別の場所の病気が関わっている可能性もあるのです。もし、痛くないけれど、喉のブツブツや違和感が、何週間も続くようであれば、一度、「耳鼻咽喉科」を受診してみることをお勧めします。鼻や喉の状態を詳しく診察してもらい、背景に隠れた病気がないかをチェックしてもらうことで、長年の不快な症状から解放されるきっかけが見つかるかもしれません。