病院の受付や問診の現場で日々患者さんの「迷い」に接していると、花粉症の時期特有の混乱が見えてきます。ある中規模総合病院の総合受付担当者に、患者さんが診療科を選ぶ際の傾向と、現場から見たアドバイスについてインタビューを行いました。受付の担当者によれば、最も多い質問はやはり「鼻も目も両方辛いけれど、どっちに行けばいいの?」というものだそうです。現場での対応として、まず患者さんの「見た目」と「訴えの強さ」を瞬時に判断していると言います。「鼻声で、常にティッシュを手放せない方は耳鼻咽喉科へ、目が真っ赤で涙ぐんでいる方は眼科へとご案内するのが基本です。しかし、もし患者さんが『とにかく体がだるくて、仕事にならない』とおっしゃる場合は、まずは内科での全身管理をお勧めすることもあります」とのこと。また、現場から見た意外な注意点として「待ち時間の格差」が挙げられました。花粉症シーズンの耳鼻科は、一日の受診者数が通常の数倍に膨れ上がることも珍しくなく、数時間待ちが当たり前になります。一方で、眼科は比較的予約が取りやすかったり、流れがスムーズだったりするケースもあり、時間を優先して眼科で目薬をもらい、鼻の薬はかかりつけの内科で処方してもらうという「ハイブリッド受診」を選ぶ賢い患者さんも増えているそうです。インタビューの中で特に強調されたのは、「情報の透明性」です。医師が診察する際、別の科で既にもらっている薬の内容が分からないと、最適な処方ができません。お薬手帳を持たずに、複数の科を回ってしまうことが、実は一番効率を下げてしまう要因なのだそうです。「私たちは患者さんが一箇所で済ませたいという気持ちもよく分かります。最近では内科の中に『アレルギー外来』を設けている病院もあり、そこなら一度の診察で全身の抗アレルギー薬を処方してもらえます。ただし、その先生が専門の検査機器を持っているかどうかは別問題ですので、重症の方はやはり専門科へ、軽症の方は内科へ、という棲み分けが理想的です」というお話でした。医療現場の視点から言えば、正解は一つではなく、自分の症状の重さと、かけられる時間のバランスを天秤にかけることが、賢明な受診行動と言えそうです。病院選びを、単なる「場所の選択」ではなく「自分のリソースの最適化」として捉え直すことで、毎年恒例の花粉症へのストレスは、もっとコントロール可能なものへと変わっていくはずです。