あれは昨年の春、突然の激しい腹痛に襲われた時のことです。夜中に痛みが始まったのですが、朝になっても一向に治まらず、私は「大きな病院で診てもらえば間違いないだろう」と考え、近所にある有名な地域医療支援病院へ直接向かいました。そこは建物も新しく、数多くの専門医が在籍していることで知られていました。受付に到着し、症状を伝えると、最初の衝撃が私を待ち受けていました。受付の方から「紹介状はお持ちですか」と尋ねられ、持っていないことを伝えると、通常の医療費に加えて選定療養費として七千円以上が加算されること、そして紹介状がある方が優先されるため、待ち時間が非常に長くなる可能性があると告げられたのです。その時の私には、その追加費用も待ち時間も、耐え難い重荷に感じられました。結局、三時間以上も待合室の硬い椅子で痛みに耐え、ようやく診察室に呼ばれたときには、すでに体力的にも精神的にもボロボロの状態でした。医師は私の話を丁寧に聞いてくれましたが、一通り診察を終えた後、「まずは近くの内科クリニックで基本的な検査を受けるべきでしたね」と諭されました。その医師の説明によれば、地域医療支援病院は本来、クリニックで「精密な検査や入院が必要」と判断された患者さんのための場所であり、私のような初期段階の腹痛であれば、クリニックの方が迅速に対応でき、必要であれば即座にこの病院への紹介状を書いてもらえたはずだというのです。その後、検査の結果は一過性の胃腸炎で、数日の投薬で完治しました。しかし、この一件で私が支払った代償は小さくありませんでした。高額な選定療養費だけでなく、何よりも「病院の仕組みを知らなかった」ことによる時間の浪費と、重症患者さんのための診察枠を一つ奪ってしまったという申し訳なさが残りました。この体験を経て、私は自分の健康に対する考え方を根本から改めました。すぐに大きな病院へ行くのが正解なのではなく、自分の身体のことをすべて把握してくれている「かかりつけ医」をまず頼ること。そして、その医師が「ここから先は専門の力が必要だ」と判断したときに初めて、地域医療支援病院という高度なステージへ進む。この順序こそが、日本の医療が最も効率的に機能するように設計された黄金のルールだったのです。今では、私は駅前のクリニックの先生を全幅の信頼を置いて頼っています。そこでは待ち時間も少なく、何より「いつでも相談できる安心感」があります。地域医療支援病院は、私たちが本当に深刻な事態に陥ったときにこそ、その真価を発揮してくれる「命の保険」のような存在であるべきだと、今では深く理解しています。
紹介状なしで後悔した私の体験談