頭が割れるように痛いとき、私たちは「脳に何か重大なことが起きているのではないか」という恐怖から、脳神経外科を真っ先に思い浮かべることがあります。しかし、慢性的な片頭痛に悩んでいる場合、向かうべきは外科なのか内科なのか、その判断基準を整理しておきましょう。まず、緊急を要する状況、例えば「これまでに経験したことのない激痛」「突然の麻痺やろれつが回らない症状」「高熱を伴う激しい頭痛」などの場合は、迷わず脳神経外科や救急外来を受診、あるいは救急車を呼ぶべき事態です。これらはクモ膜下出血や脳出血、髄膜炎といった外科的な緊急処置が必要な疾患の可能性があるからです。一方、数ヶ月以上にわたって繰り返される、ズキズキとしたいつもの痛み、つまり片頭痛や緊張型頭痛などの「一次性頭痛」であれば、診察の主体は脳神経内科となります。脳神経内科は、神経の伝達や血管の収縮・拡張といった「機能的」な問題を薬物療法や生活指導でコントロールすることを得意としています。外科が「壊れた構造を直す場所」であるなら、内科は「乱れたリズムを整える場所」だと言えるでしょう。片頭痛の患者さんが外科を受診した場合、多くの場合はMRIやCTで「異常なし」と診断され、そこから内科的な治療へとバトンタッチされることになります。二度手間を避けたいのであれば、最初から脳神経内科の看板を掲げているクリニック、あるいは総合病院の内科系頭痛専門外来を狙うのがスムーズです。また、最近注目されているのは、バイオフィードバックや認知行動療法といった、薬に頼りすぎないセルフコントロールの技術を学べる医療機関です。慢性化した頭痛は、脳が「痛みを学習してしまった」状態でもあります。その間違った学習をリセットし、脳を健やかな状態へと再配線していくプロセスには、一定の時間と専門的な知識が必要です。診療科選びにおいて、脳神経内科はあなたの脳の「体質」を深く理解し、長期的なパートナーとなってくれる場所です。自分がどのような痛みを抱え、どのような生活を送りたいのかを明確にし、それに最も誠実に応えてくれる診療科を選択することが、不自由な頭痛からの卒業への最短ルートとなります。